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カンボジアで万能の治療法として伝統的に愛用されているコ=クチョル術。だがプノンペンでトロピカル&トラベラーズ メディカル クリニックを営む英国人医師ギャヴィン=スコットによれば、コ=クチョルには一時的な痛み止め効果しかなく、根本的な治療効果はまったくないという。
「皮膚をあのように強くこすることで、人体は自然にエンドルフィンを生成する。これにより、痛みの量が緩和される。アスピリンを服用するのと同等の効果だ。痛みが一時的にやわらぐ以外に、症候はまったく治癒されない」と同医師。
多くのカンボジア人がコ=クチョルには効果があると感じていることについては、「よくあるプラシーボ効果だ」と同医師は切り捨てる。
シンガポールでメディカルトレーニングを受けた家庭医Kem Sam Sanは、「コ=クチョルは血管細胞を破壊するので、血管損傷の原因となることがある」と述べた。
「頭痛を治したくて額にコ=クチョルを受けていた人が、痛みのあまり気絶したのを見たことがある。たぶん彼らは、毒がこすり出されると信じているのだろう」と同医師。
強くこすりすぎてやけどを起こす例もある。カンボジア人は、強くこすればこするほど治癒効果が高まると思っている。また、コ=クチョルは血圧を高めるので、とりわけ高齢者の発作を誘発する危険も伴う。
毎週のようにコ=クチョルを受ける人も多い。が、プノンペンのサンライズ メディカル クリニックの精神科医Yim So Botraはこれについて、中毒の可能性を指摘する。皮膚を繰り返し強くこすって血流中へのエンドルフィンの流入量が増大することで、被術者は刹那的快楽を感じ、しばしばその中毒患者になってしまうという。
「1日か2日経つとイライラや目まいが起こりはじめ、またコ=クチョルを受けたくなる。これを不安障害という」と同医師。同医師が勤務する病院には、毎日80人もの患者が動機・息切れ・不眠・目まいを訴えて訪れ、その多くがコ=クチョルを常習的に受けているという。
「コ=クチョルをやめると、4〜6週でほとんどの患者が治る」と同医師。
激しく泣き叫ぶ裸の乳幼児を押さえつけ、よかれと思ってコ=クチョルを施す母親や祖母は多い。全身真っ赤なあざだらけとなった姿は、外国人の目には虐待とも映る。「言うこと聞かないならコ=クチョルだよ」などと、しつけまがいに利用される場面もある。伝統か、科学か。カンボジア人一人ひとりの選択が問われる。
2009年07月07日
カンボジアウォッチ編集部
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