カンボジア好き集まれ!
Google
Web locomo cambodiawatch
トップ プノンペン シエムリアプ その他の州 コラム 特集 生活情報 旅行 ビジネス CW編集部
 コラム
 カンボジアウォッチコラム
  └本日のクメール料理
  └教えてクメール語
  └カンボジア通信
  └姫様にょっき
  └東南アジアの人々
 特集
 ・カンボジアで会った日本人
 ・NEWオープン
 ・オススメホテルプラン
格安カンボジアホテル予約
シエムリアプ(アンコールワット)
プノンペン
シアヌークビル
カンボジア旅行予約
カンボジア旅行のことなら、ロコモトラベルにお任せ!
LOCOMOTravel
カンボジアビジネス支援
・外資100%現地法人設立
・カンボジアへの視察
・事業化可能性調査
 カンボジアビジネスは弊社にお任せ下さい。ロコモはカンボジアにおいて1996年より、投資サポート・輸出入物流・生産受諾・ITプロジェクト・取材コーディネート・広告代理・旅行といった様々な事業を行っております。培ってきた当国との信頼関係を背景に、日本との更なる経済関係発展を目指します。
LOCOMO CO.,LTD.











トップコラムカンボジア通信04 ベトナム移民の背景を聞く
カンボジア通信 2006年4月28日
06 ベトナム移民の背景を聞く


首都プノンペンの中央よりやや南東部に位置するカップコー市場の南で、バナナアイスの移動屋台を引きながら歩く男性を見かけた。以前からアイスクリームの移動屋台を「カンボジア人のお仕事図鑑」に加えたいと考えていたため、ぜひ話を聞きたいと思ったのだが、商売の邪魔をするわけにはいかない。邪魔をせずに話を伺うにはどうすればいいかと考えていたところ、住宅地の路上にある縁台前で男性は歩みを止め、ポケットからタバコを取り出して休憩体勢に入った。チャンスと思って話しかけてみたのだが、話があまり通じていないようで、困惑したような表情を浮かべて言う。
「カンボジア語ができない」
こちらの発音が悪かったため、
「(あなたは)カンボジア語ができないのか?」
と尋ねられていると思ったらそうではなく、男性はベトナム人でカンボジア語があまりできないらしい。僕はベトナム語は「ありがとう」「ごはんを食べる」しか知らないため、ベトナム語で会話を成立させることはできない。しかたがない、諦めようかと思ったが、簡単な質問をぶつけてみると的確な答えが返ってくる。少しはカンボジア語ができるようなので、休憩がてら話を伺ってみることにした。男性が休息をとっていた縁台の裏手に住むカンボジア人男性も話に加わり、僕の話すカンボジア語をよりきれいな発音に直してアイスクリーム売りの男性に伝えてくれたことも大きな助けとなった。
このベトナム人男性を仮にAさんとする。年齢は54歳で、家族は妻と子ども6人。カンボジアには妻と4人の子どもを連れてやってきた。残り2人の子どもはベトナムで生活しており、一人はベトナム南部のホーチミン市に、もう一人はアンジャン省にいる。
Aさんは毎朝5時からバナナアイスクリーム売りの仕事を始める。カンボジアでは複数の種類のバナナが栽培されているが、Aさんはチェークナンヴァーという種類のバナナを使ってバナナアイスクリームを作る。まず、皮をむいてからバナナを縦に薄切りにし、アイスクリームの原料を加える。それからバナナに持ち手となる棒を刺し、透明のビニルで包んで上から潰すようにし、薄くのばす。それを氷で冷やして固めればバナナアイスクリームのできあがりだ。でき上がったアイスクリームは、氷をぎっしり詰めて簡易冷凍庫のようにした木製の移動式屋台に入れて売り歩く。氷は一塊あたり1700リエル(1米ドル=約4110リエル)のものを計り売り屋でふたつ買い、砕いて細かくしてから使う。ベトナムにもこういったバナナアイスクリーム屋が存在するとAさんは言う。
1日の収入は2万リエル(約5米ドル)程度。屋台はプノンペン南東部のチュバーオンパウ市場で購入した。価格を聞くと500米ドルだという答えが返ってくるが、サトウキビジュース屋を営むカンボジア人から、電動のサトウキビ搾り機つきの屋台が250米ドル程度だと聞いたことがあるので、それを基準にして考えると木製の簡易屋台が500米ドルもするとは思えない。こちらの質問が正しく伝わらなかったのだろうか。
Aさんの話を聞いていて、以前から抱いていた疑問をぶつけてみたくなった。ベトナムの方がカンボジアより経済が発展しているにもかかわらず、なぜ多数のベトナム人がカンボジアへ出稼ぎに来るのかという疑問だ。あるジャーナリストとともにカンボジア南部のシハヌークヴィル市へ行って売買春関連の取材をしたとき、ベトナム人の女性が働く買春宿で同じ質問をしたことがある。ベトナムにも買春宿は存在する。それなのに、なぜ彼女たちはわざわざ遠く異国の地にきて働いているのか、その背景を知りたかったからだ。あるベトナム人女性は次のように答えた。
「カンボジアでは米ドルが一般的に流通しているでしょ。カンボジアで働けば収入をドン(ベトナムの通貨)より価値の高い米ドルで得ることができるのよ。だからベトナム人はカンボジアに働きに来るの」
また、カンボジア国内で活動するあるNGOのスタッフによると、ベトナムでは売買春関連の法律がカンボジアより厳しく制定されていているため、買春宿の経営者にとってベトナムよりカンボジアのほうが商売をしやすいという事情がある。
では、売買春とは直接関係のない一般のベトナム人はどうなのだろうか。Aさんの口から直接答えを聞きたかったが、言葉の壁により実現せず。その代わりに横にいたカンボジア人男性が口を開く。
「ベトナム人がカンボジアに入国する際、パスポートが必要ないんだ。それに加え、ベトナムよりカンボジアの方が生計を立てやすいんだよ。経済? 確かにベトナムのほうが発展しているな。でも学歴や職務経験のない人にとって、ベトナムで仕事を探すことは大変なことなんだ。だから彼らはカンボジアへ出稼ぎに来るんだ」
ベトナム南部の商業都市ホーチミンや首都ハノイで見られる経済的な発展は、ベトナムのごく一部を描いているに過ぎず、カンボジアと同様、ベトナムでも地方では過酷な現実に人々は苦しんでいるのだろうか。彼の説明を聞き、先に述べたシハヌークヴィルの買春宿で働く女性の出身地が、ホーチミン市から遠く離れたところだということを思い出した。
パスポートの件は公式上どうなのか確認できていないが、例えばカンボジア人がポイペトやプレアヴィヘアなどの国境を通ってタイへ入国する際、パスポートがなくても国境で5バーツ(500リエル)支払って通行証を購入すれば一時的に入国できる(期間は未確認だがおそらく1日)。ベトナム人に対しても似たような措置がとられている可能性がある。政治的な問題もあるだろう。知り合いのカンボジア人が言う。
「カンボジア国籍とIDカードは金で取得できるんだ」
つまり入国し、生活費の問題さえ解決できればカンボジアで暮らしていくことは可能なわけだ。こう書くと、カンボジア国内のベトナム人は無法者のような印象を受けるかもしれないが、国内のベトナム人すべてに当てはまる話ではない。なぜなら歴史的な理由もあるからだ。
1949年から1959年にかけて、プノンペンのフランス大使館文化部に勤務していたジャン=デルヴェール氏が滞在中に調査した結果をまとめた『カンボジアの農民』及川浩吉・訳(昭和56年12月)によると、ベトナム人の移住は、19世紀最初のアンナンのカンボジア干渉にさかのぼる。その後のフランス植民地時代(1863〜1953)に移民奨励政策がとられたこと、フランスの行政官がベトナム人を下級官吏などに雇用したことなどもベトナム移民が増大した大きな理由となっている。
休憩中にお邪魔してしまったため、お礼の代わりにバナナアイスクリームをひとつ買うことにした。するとAさんは
「お金はいらない」
という。今まで何度か金に執着するベトナム人との間で嫌な思いをしたことがある。そういうベトナム人を指して「ベトナム人は嫌いだ」というカンボジア人もいる。だがこの男性は違った。生活は決して楽ではないはずだ。それなのに正当なアイスクリームの代金を受け取ろうとしない。時間を取らせた上にごちそうになるわけにはいかないので、「受け取ってください」といって500リエル札を差し出す。バナナアイスクリームの値段は1本100〜200リエルだ。カンボジア人の男性も「受け取ってくれって言ってるよ」と勧めてくれたことで、Aさんはやっと手を差し出してくれたのだが、ポケットの中を見て今度は「おつりがないからやっぱり代金はいいよ」と言う。おつりがないんじゃしょうがないな、というわけにもいかないので、「それじゃあおつりはいならいので、全部受け取ってください」といって500リエル札を手渡した。自分にも経済的なゆとりがあるとは言えないが、数百リエルなら節約すればいいだけだ。
ベトナム人に対する印象が少し変化した午後だった。

井伊誠のブログ「カンボジア通信」はこちら>>> http://cambodia.blogtribe.org/
戻る 次へ
トップコラムカンボジア通信04 ベトナム移民の背景を聞く
Copyright 2007 Cambodia Watch, All rights reserved.