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カンボジア通信 |
2005年4月30日 |
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07 未熟な果物の楽しみ方 |
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日本では果物といえば一般に熟した甘いものを食べるが、カンボジア人(※1)は未熟の果物も好んで食べる。この場合、果物を食べるというより野菜を食べる感覚に近く、観察していた限り間食によく食べられるようだ。僕が通っているクメール語の学校の先生によると、通常、未熟の果物は午後3〜4時の間に食べる。なぜかというと、午前中に食べるとお腹を壊す恐れがあり、かつ午後に食べたほうがおいしく感じるからだという。
さて、カンボジア人はどんな果物を未熟の状態で食べるのだろうか。具体例をいくつかあげてみよう。 まずはマンゴー(スウ゛ァイ)。カンボジア人はまだ果肉の硬いマンゴー(スウ゛ァイクチェイ)に塩と唐辛子を混ぜたオンベルマテ(→バックナンバーの「読者の投稿」を参照)、またはタックトレイ(魚醤)と砂糖、レモン汁、味の素をまぜたものをつけて食べる。アミを発酵させたカピをつけて食べるのを好む人もいる。スウ゛ァイクチェイの味や食感は、どの程度熟しているかによって変わる。完全に青いものは果肉が硬くコリコリしていて酸味が目立つのに対し、中心部がやや熟れたものは甘酸っぱくシャキシャキとした歯ごたえを楽しめる。このスウ゛ァイクチェイは、ニョアムスウ゛ァイやボックスウ゛ァイ(両者とも未熟のマンゴーの果実を使ったサラダ)をつくるときに使われる食材でもある。 今では僕もスウ゛ァイクチェイを好んで食べるが、スウ゛ァイクチェイの魅力を舌で知る前は、なにもまだ熟していないものを食べる必要はなく、芳醇たる甘味がたっぷりと詰まった完熟のマンゴーを楽しめばいいじゃないかと思ったものだった。
次にロホン(パパイヤ)。未熟のパパイヤの果実はボックロホンにしたり、日本のなますのようなものをつくってバゲットのサンドウィッチ(ヌムパンパテー)の具にしたりする。ボックロホンとは、未熟のパパイヤの実を切り干しダイコンのように細く切り、それをチー(ハーブの総称)や干しえび、レモン汁などと一緒に和えたものだ。カンボジア料理を出すレストランやボックロホン専門の屋台で食べることができる。もちろん家でつくることも可能だが、僕がお世話になっている家庭では屋台で買ってきて家で食べている。
続いてチェーク(バナナ)のひとつ(※2)のチェークナンワー。このバナナを米からつくられるカンボジアの酒スラーソーに加えてスラートゥナム(薬用酒)をつくる。熟したチェークナンワーは甘味成分の豊富なバナナだが、未熟のものはやや渋みがある。詳しいことは知らないがそこに薬効があるのかもしれない。ホームステイ先の親戚(農家)が住んでいるコンポンスプー州でこの酒をいただいたことがあるが、酒の味は忘れてしまった。
最後に植物のことなのでいつものとおり"Dictionary
of Plants used in
Cambodia"をひいてみた。まずはマンゴー。同辞書には若い葉と花も野菜として食用されると書かれている。そこで確認のためマに聞いてみたところ、カンボジア人は食べないと言う。また、同辞書によるとカンボジア人はマンゴーの果実を天日で干してドムナップスウ゛ァイと呼ばれる保存食をつくる。ドムナップという単語の意味を『カンボジア語辞典』坂本恭章・著(大学書林)で調べてみたところ、「マーマレード、ジャム、マロングラッセのように砂糖で煮詰めた菓子」とある。天日で干すのと砂糖で煮詰めるのとでは大きな違いだ。いったいどちらなのか、姉さんにドムナップスウ゛ァイの作り方を聞いてみたところ、「作ったことはないが熟したマンゴーを煮る」と言っていたので、おそらく『カンボジア語辞典』にあるとおりなのだろう。パパイヤに関しては「未熟の果実は野菜として食用される」というもの以外、有力な記述はなかった。なお、余談だがマによるとパパイヤの若い葉をつかったソムローもある。 以上のように書くと、カンボジア人は熟したマンゴーやパパイヤを食べないのかと誤解される恐れがあるため、彼らも熟したものを楽しんでいるということを付け加えておく。
ここで紹介した果物のほかにもカンボジア人が未熟の状態で食べるものはあるので、今後、何らかの機会に紹介できればと思う。
※1 「カンボジア人」と書いたが、この食習慣はカンボジア特有のものというわけではなく、隣国のタイやラオスでも見られる。
※2
カンボジアのバナナにはチェークナンワー、チェークポーンモアン、チェークオンボーン、チェークヌオン、チェークスナップムック、チェークチョウ゛ィアなど、多様な栽培種がある。
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井伊誠のブログ「カンボジア通信」はこちら>>> http://cambodia.blogtribe.org/ |
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