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カンボジア通信 |
2004年8月18日 |
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19 カンボジア人のお仕事見学記(2) |
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さっそく2人目の「仕事人」に撮影依頼をすると、
「そうかい、日本から来たのかい」
と、これまた快く引き受けてくれる。
「仕事人」は自宅の庭で小さめの鉈を使い、「カッカッカッカッカッ」と軽快な音を立てて竹の節の部分を削っている。数分撮影させてもらったが、「屋根職人」とは違い寡黙な人のようで話しかけてこない。撮影を許可したのはいいが、見知らぬ外国人に対してどう接すればいいのか困っているのかもしれない。だとしたら、ごめんよおじさん。
[写真1]黙々と仕事を続ける「仕事人」
[写真2]節の部分のでっぱりを鉈で削り落とす
何を作っているのかくらいは聴かないと撮影している意味がない。疑問をぶつけてみると、「仕事人」は完成品を見せてくれるといって、自宅の裏のほうへ僕をいざなう。仕事人の仕事はいったい何なのだろう? 期待が静かに膨らんでいく。
[写真3]にこやかな表情をしながら自宅裏へ案内する「仕事人」
「豚小屋だよ」
目の前を指差して仕事人が言う。
[写真4]竹製のブタ小屋に入れられたブタさん
そこには竹で作られた小さな小屋のなかに、かわいらしいブタさんの姿がある。衛生的な環境で育てられているせいか、不快な臭いはいっさいしない。肌の色もうっすらとしたピンク色でとてもきれいだ。僕が豚肉は大好きだと言うと、
「クメール語がじょうずだねえ」
とほめてくれる。自分ではまだまだだと思っているが、ほめられると素直に嬉しいものだ。作った小屋は市場へ売りに行くらしい。続けて「仕事人」はもうひとつ見せたいものがあるといって、高床式住宅の床下へ案内する。そこには長さ2メートルくらいの金属製の機械と収穫した米が置かれていた。機械のほうは脱穀機らしい。スヴァイリエン州はカンボジアのなかで最も貧しい州のひとつと聞く。電動(バッテリー駆動式)の脱穀機を持っているところから判断して、この仕事人はおそらくそこそこの稼ぎがあるのだろう。
カンボジア全体から見たとき、スヴァイリエン州はどんな状況にあるのか。参考までに統計局のサイトに載っている国勢調査(1998年)の結果を見てみた。比較のため( )内にプノンペン特別市の数値を示しておく。「政府の統計なんてあてにならないよ」という声もあるが、まあ、あくまでもひとつの参考値である。数値もちょっと古いしね。
《国勢調査の結果の一部(1998年)》
[識字率]
全体 67.1%(82.7%)
男性 77.7%(88.1%)
女性 58.1%(77.7%)
[調理のために使用する燃料]
薪 89.4%(43.1%)
灯油 1.4%(5.0%)
炭 0.6%(34.4%)
LPGガス 0.5%(16.3%)
その他 8.1%(1.2%)
出所:1998 Population
Census of Cambodia,Ministry of Planning National Institute of
Statistics
適切な数値を見つけることができなかったので、識字率と燃料の紹介となったがご了承いただきたい。識字率はプノンペンより低く、調理用燃料として薪を使用する割合はプノンペンより高いことがわかる。とはいえ、これだけの数値で「スヴァイリエン=貧しい」とするのはあまりにも短絡的だ。繰り返すようで恐縮だが、あくまでも参考値としていただければ幸いである。
おじさんは脱穀機を僕に見せると再び仕事へ戻り、座ったままの姿勢で「カッカッカッカッ」と削り始める。僕が合掌してお礼を言うと、「仕事人」は親しみのこもった笑顔を見せながら合掌を返してくれる。カンボジア人の合掌ってかわいいよなあと思いながら僕はその場を後にしいい、次の「仕事人」を探しに向かった。 |
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井伊誠のブログ「カンボジア通信」はこちら>>> http://cambodia.blogtribe.org/ |
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